悪人だらけのファンタジー恋愛アドベンチャーゲーム、全EDクリア後の単発感想。
砂漠の犯罪大国が舞台で、主人公はそのプリンセス。他にない独特な設定の作品で面白かった。
戦闘やレベルといったRPG要素もあるよ!
このゲームについて
公式サイトでピピッと来て予約した乙女ゲーム。
犯罪大国の姫である主人公が、「普通」の人と「普通」の恋をして「普通」になるために、自国の大悪党たちとの婚約を避けるべく奮闘するお話。もっと具体的に言うと、25日で1000万Gという大金を稼げれば婚約しなくてもいいよ!と父親が譲歩してくれたので、婚約者候補を巻き込んで、手段を問わず金稼ぎする話。
最終的に目標金額を達成できたか否かで各キャラクターのEDが分岐します。サブキャラとのEDもあり。
正直予想してたより遙かに面白かった。戦闘はなかなか面白いし、キャラ同士の駆け引きも最高。何より主人公の性格がステキ!
こういうゲームは主人公が好きになれるかが一番大事だけど、その点このメーカーさんは安心です。前作「魔法使いとご主人様」も前に遊んだけどすごく良かった。お話自体も面白いし、設定からしてパンチが効いてて楽しい。延期した時は残念でしたが、待たされた故の楽しみというのもあるかもしれません。
全EDはクリアしたものの、イベント回収率が70%程度なので、未読イベントの回収のためにいずれ再プレイするつもりです。「魔法使いとご主人様」で隠しイベント消化やED制覇に奔走した経験から、今作も初回プレイじゃコンプはまず無理だろうなーと思ってた。
まぁ今回はお金稼ぎも楽だし、一日一日がさくさく進むので繰り返しは苦痛じゃないかも。キャラも皆魅力的だしね!(若干一名苦手な属性がいましたが)
イラストについて
立ち絵はもう一段階くらい塗り深くしても良かったんじゃないかなーと思うけど、十分好きな部類。
イベントCGも大量だし、それぞれ構図が凝ってて面白い。 どこかで見たような、っていうのが全くなかったのには驚きました。個人的には綺麗な代わりに動きの少ない絵よりもこっちの方が断然好き。CGも少ないより多い方が嬉しい。
ラブレボ(一番最初に遊んだ乙女ゲー)は一枚一枚綺麗だったけど、そのぶん枚数少なくて残念だったし、それを思えば自分にはこっちの方が合ってるかも。他にない魅力なので、この方針は維持して欲しいです。
巷では評判悪いっぽい立ち絵も表情やポーズにキャラの特性がよく現れてるし、体格の差も表現できてるので慣れさえすれば無問題でした。
システムについて
前作より断然使いやすくなってて良かったです。
ただ、使用ツールの特性上画面の一番上に置いてないと動かないというのがなぁ……。感想書いたりするのにちょっと不便だし、プレイ感がブツ切りになる印象。あとやっぱりこのツール重いよね。
その他、アイテムのまとめ買いが出来ないのが割と面倒くさい。「10個ずつ買う」とかその辺のボタンが欲しかったかも。売却時は「全て売却」で手っ取り早く済むから楽なんですが。
ただ、今までやってきて使ったのは各回復薬10数個と強壮剤5個、糸玉5個くらいのものだったので、それだけあればいいかも。元気の素は盗賊が落としていくし。最初は全種類買ってたんですが、後の方はそんな感じで横着してます。
音楽について
アラビアン的な曲が目白押し。戦闘曲もそれっぽくて燃えます。
不満は特にないなぁ。主題歌も良いし、挿入歌(でいいの?)やED曲も好き。
問題は上記のツールのせいで別作業してると流せないってことなんだ!(買うにしても手持ちがない)
おまけについて
CGモードと回想モード。
回収率見れるしイベントはほとんど網羅されてるしで便利ではあるんだけど、ところどころ見たにも拘わらず抜けてるCG・イベントが……例によってバグかな?
依頼受けたのにアリジゴクが出なかったりもしたし、誤字も少しあったし、そこら辺まとめて修正パッチが来そうですね。
キャラクター感想
以下各キャラクターの簡易感想。攻略キャラはクリアした順です。
ちなみに攻略キャラで一番好きなのはカーティス=ナイル。
巷でも人気らしいですね。やはり皆あの回路一本寝違えた感じがいいのだろうか(直球感想)
二番目はロベルトです。最初にクリアしたキャラだし、台詞回しが面白かったので「次は何言うんだろう」とドキドキワクワクしてました。声の抑揚も良かったなー。
三番目は……後はだいたい同列で好きかな。ライル先生も恋愛対象じゃなきゃOKです。強いて言うならシャーク!
ロベルト=クロムウェル
体験版で一番取っつきやすそうだったのでファーストプレイのお供に。
お姫様を助ける王子の役に憧れる可愛い人。でも暴力嗜好でスリル狂。
賑やかなカジノに日夜ひきこもってるのは寂しがり屋だかららしいが、反面他人を痛めつけるのに躊躇無さすぎなのはどうしたものか。
軽薄に見せかけて底の見えない感じかと思いきや意外と子供っぽい一面があったり、かと思えば理性の壊れた部分もあったりでどうにも形容し辛い人。二面性は悪人キャラの売りだけど、ここまで読みづらい人も珍しい?(だってどっちが素!って言い切れるわけでもないもんなぁ)(強いて言うなら両方素か)
スリル狂でカジノひきこもりで夢見がちという側面から見ても、子供の残酷な部分から派生した「悪」の持ち主っぽい。
プリンセスへの呼びかけが「あんた」なのが媚びてないっぽくて個人的に好き。
印象に残った台詞:「俺に死ねって言うんですね…」
カーティス=ナイル
あちこち壊れた自己中変態暗殺者。
予想以上にやばかった。全キャラ一やばかった。でも一番可愛くも見える。
仲良くなると健気化して尽くすし、一生懸命だし、そのくせすぐ拗ねるし、ときめきどころは目白押し……なんですが、笑顔で毒吐いたり殺す殺す連発したり実際殺したり、物騒な我が儘言ってごねたり、嫌いな人間には本気で容赦なかったり、といった地の部分も変わらずそのまんま。そこが一番好きですが。(面白くて)
印象に残った台詞:「あはは…っ。僕、狂人みたいですか?」
シャーク=ブランドン
家族想いで常識人な一面が目立った大人キャラ。
もちろん悪人ではあるんだけれども、前2人に比べたら遙かに頼りがいがあって安心感二乗。もれなく可愛い弟兼息子もついてきます。
目立ったときめきはないけどお気に入り。
印象に残った台詞:「何?とるなよ!?」
ライル=スルーマン
申し訳ないが鬼門だ!
いい先生モードは切り抜けられましたがEDで撃沈。くると思ったよ!
嫌いじゃないですが、プレイヤー的に苦手なタイプ。でもロベルトと絡んでる時のライルは生き生きしてて素敵だ。恋愛さえ絡まなければ好きなのかも。
印象に残った台詞:「いつまでも成長しないんですから…」
スチュアート=シンク
プリンセスが色々察してくれるタイプの性格じゃなかったらこの人は一体どうなっていたのか。
不器用意地っ張り嫌味も大概にしておかないとギャグになる上に可愛い男の烙印押されちゃうよ!
印象に残った台詞:「勢いだ!」
チェイカ&アルメダ
てっきりアルメダの片思いだと思ってたので、相思相愛だったのは予想外。
酒場イベントは手に汗握った。主人公を巡るラブロマンスも好きだけど、脇役の人間模様を見守るのもいいものです。
ED後、プリンセスにラブメール送って来てるのは候補者の誰かかライル先生なんだろうな。
印象に残った台詞:「チェイカさんの言う通り!」
マイセン&ミハエル
兄と悪魔。彼らのルートはアルメダ&チェイカと同じ横道。
アリシア(前作主人公)好きとしては兄の想いにビックリ&申し訳なくなった。ごめんマイセン、自分の中でアリシアはセラス、ミラー、サイラスの何れかとくっついて領主EDって事になってる!(セラス、ミラーはともかくサイラスだと兄が可哀相すぎやしないか)
でもアリシア(ローレイ)&アイリーン(シモン)は良いですね。
会えないのが残念だなぁ……取り引き達成ED後にでもアリシアが訪ねてきたら面白いのに。
ミハエルは攻略キャラ(?)の中でもとびきり幼稚だ。あのカーティスでさえ己の立場や将来設計について真剣に考えてたのに、ミハエルってば! 表面的な強さはカーティスより上でも、精神的にはカーティス以下って事でいいのかな。どちらに於いてもカーティスは決して弱くないはずだが。まあミハエルは悪魔だし価値観がそもそも違うのかも。
ED後はどたばた活劇になりそう。色気のいの字さえなければ(マイセンちゅーはともかくミハちゅーは駄目だったー!)その後も見てみたい。……っていうかあのちゅーは正直要らんかったんじゃ。 二人の外道っぷりが強調されたくらいか。
印象に残った台詞:「俺眠い」
タイロン=ベイル
イベントの大半がスチュアートと被っていたためどうにも印象が薄い……
インパクトもスチュアートの方が大きかったし、順番逆にすれば良かったなぁ。
タイロンはプリンセスが「普通」になりたがってるのを良く知ってるので、ギルカタールらしい一面は殆ど見せません。せいぜい元彼関連くらい? 元彼と言えば固定イベントはともかく、外出先イベントはちゃんと個性が出てて面白かった。洞窟で挟まったのが忘れられない。
プリンセスとの恋模様よりも、幼馴染としての信頼関係やスチュアートとの悪友関係の方に重点が置かれてた気がします。好みのシナリオでした。
印象に残った台詞:「三、俺が技を使って、砕く」
アイリーン=オラサバル
等身大に悩んだり焦ったり自己嫌悪に陥ったりするところがアリシアより好きかも知れない主人公。
サバサバとまではいきませんが、ケジメつけるところはしっかりつけてるので、一国のプリンセスとしての説得力もあった。
恋愛事や色事に慣れてるのも高ポイント。強調フォントでのツッコミが鋭すぎるのも高ポイント。悪人達の悪事がマンネリ化しないのはその度プリンセスのツッコミが映えるからだと信じてます。彼女のツッコミが入らなかった特典CDボイスは大変居心地が悪かった。
余談ですが、アイリーンのビジュアルと性格、昔やったギャルゲの裏ヒロインそっくりなんですよね。今で言うツンデレタイプで、言動キツイんだけどその分能力は高スペック、純情な主人公をからかって面白がるくせに素直じゃなくて、でも単なる意地っ張りでは終わらない。今もそのキャラの事は大好きなので、余計アイリーンに思い入れが出来ます。台詞もボイス付きで聞きたかったな。
印象に残った台詞:「くそ。子供っぽい…」
特典CD感想
メーカー予約でついてきた特典CDの感想。
メンバーはカーティス・スチュアート・マイセン・ミハエルの4名。
メンツが濃すぎてスチュアート一人浮いてないか!?
スチュアートもキャラ的には十分濃いんだけど、他3名は濃いのベクトルが違う気がする。
特典ボイス
自己投影が向かない自分にとって針のムシロだった特典ボイス。
一つ一つを取ればときめきもするんだけど、どうも自分に話しかけられてる印象が拭えず「プリンセス! プリンセス助けてくれ!」と半泣きになりながら聞いてました。なにこの苦行。ゲーム中に攻略キャラがトチ狂ったこと言い出しても大丈夫だったのは、プリンセスが台詞なり地の文なりでしっかり異常だって突っ込んでくれたからなので、それがなくて一方的に話されるばかりだと居たたまれない。
プリンセスにボイスがついてて、二人で掛け合いしてくれたならきっと楽しく聞けたと思う。
その点、特に色恋関係ないミハエルは最高でした。超笑った!
あと、予約感謝ボイスは普通に聞けたな。カーティスの毒が抜けない!
座談会
すごく面白かったです。プリンセスが居たらもっと良かったけど、それでも十分面白かった。
徹底的にやられキャラと化してるスチュアートが哀れですが、他のメンツが吹っ飛びすぎてるからであって彼の所為じゃないよな……。
マイセン&ミハは本当いつも通りのテンションだったので何処がだれてるんだか解りませんでした。(誉め言葉)
カーティスは普通についていけてた(深く興味がないだけに違いない)けど、スチュアートは完璧置いてけぼりだったな。
それにしても、マイセン=ヒルデガルド嫌いオーラを遠慮無く放出しながらもミハエルの不興を買わず、更にスチュアート苛めもやってのけるカーティスは最強ですね。マイペースもここまでくると神の領域だ。好き。
裏ネタトーク
兄……!! なんかもうあらゆる意味で兄……!
真っ正面から嫌い宣言されてるカーティス+マイセンネタも泣けた(個人的にはカーティスに同感だがw)けど、何よりスチュアート+ミハエルネタで明らかになる兄の設定が……兄ー(涙)
そんな某ラブレボの兄と張るくらいの妹ラブっぷり、キャラ紹介見ただけじゃ分からなかったよ! 本編ルートでも十分匂わされてたと言えば匂わされてたけど、スチュアートがしっかり「妹に恋して~」って読み上げちゃってるし。しかもラブレボと違って決して報われる事がないというオチ。兄ー。
しかし本当マイセンに恋愛EDがなくて良かった。この設定の上でアイリーンと恋愛EDなんか迎えられたらキレるよ。
もちろんずっとアリシアに恋し続けろって言ってるわけじゃなく、それならもういっそ彼主人公の専用ノベルゲーム作るとかそれくらいの勢いでないと納得できないって事です。少なくともアラロスでは無理。
しかし、ミハエルには本当要所要所でカチンと来るな! そういうキャラだから不快感はない。でも恋愛対象だったら多分受け付けない。脇役であれば十分許せるかな。
旧OP
主題歌途中で変更されたんだ! でもこっちもいい曲ですね。キャラのシルエットが並ぶ演出が好きです。
現OPの方が好きと言えば好きだけど、これも見れて良かったと思えるような出来でした。
声について
特典CDの声優さんのトークは途中まで聞いて、やっぱり乙女ゲーの声優トークはちょっとな、となってやめました。
声優さんは何も悪くないんだけど、キャラはキャラ、声優さんは声優さんで分けて考えたいので、イコールが強すぎると距離を取ってしまう。個人的には「中の人」という表現もあまり得意ではない。
一般RPGの声優さんの対談やコメントなんかは楽しく読めるんだけどな。
主人公にボイスがあれば、「声優さんがプレイヤーにサービスしている」という感覚は薄くなると思うので、乙女ゲーの主人公にも声がつくのが普通になるといいなあ。
「声」としての見方でいくと、アラロスで一番好きなのはお母様とお父様の掛け合いかな。勝利ED、「妃は今日も美しい…」「あらあら、白々しいわ。おほほほほほほ」のところで爆笑しました。この二人すごい好き。
次にミハエルとマイセン! 酒場の酔っぱらいイベントなんてここで笑わずしてどこで笑うってくらい面白かった。
基本的に掛け合いが好きなんだな。だから余計プリンセスの突っ込みや攻略対象とのやり取りをボイスつきで聞きたかったという。
乙女的な需要もなさそうだし、難しいと思うけど、もしコンシューマ版移植とかあったらプリンセスにボイスつかないだろうか。あの掛け合いを完全な形で聞きたい!
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