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逢魔時~怪談ロマンス~ 総合雑感

QuinRoseの怪談ロマンスシリーズ第一作目、逢魔時~怪談ロマンス~の総合雑感です。
プレイ当時、まさかシリーズものになるとは思っていなかった! 続編が出るとも思っていなかった!
もっと色んなエピソードが見たいと思っていただけに嬉しい。
最近のQuinRoseは、訪問や戦闘といった作業要素を含まない、ノベルタイプのゲームが主流なのかな。
逢魔時もシステムはオーソドックスですが、主人公の性格や話の展開など、全体的に少々毒が効いているので、ダーク・大人向け要素に寛容でちょっと変わった学園乙女ゲーを遊んでみたい人にお勧めです。

※以下ネタバレ注意


全体感想

面白かったっ!
一ヶ月弱、脇目振らずで遊んでフルコンプしました。
数年ぶりの新作乙女ゲーでしたが、笑いあり涙あり、ときめきあり緊張ありで楽しかったです。
予期せぬ糖度にびっくりすることも多々あったけど、それでこそ乙女ゲー!それでこそQuinRose!という気もする。
どのキャラにもそれぞれ違った魅力があり、思い切った展開に度肝を抜かれることも多かった。
久々の乙女ゲーをひたすら楽しく遊べて嬉しかったです。切なさに涙した真相も含めて楽しかったな。
詳しい感想は後述しますが、お気に入りの作品になりました。癖のあるところも魅力的。
好きな人が増えるといいな。

ハトアリ以降QuinRoseからめっきり離れてしまい、新作も遠く評判を聞くばかり。
その評判すらプレイしてない身では真偽を確かめようもなく、気になりつつも足が遠退いて早4年、プラットフォームが完全にPSPに移行したのを機に「そろそろ何か一作……」と思っていたところに来たのがこの逢魔時でした。
始めはちょっと気になった程度だったんだけど、公式を繰り返し見に行くうちに、すっかり買う気満々になっていた。
ロゼの現代ファンタジー、しかも和風ものって時点で珍しいもの見たさな部分はあったかな。
妖怪もの嫌いじゃないし、主人公もなかなか個性的で楽しそうだと思いました。絵柄も好み。
実際にプレイしてみて、主人公に関しては期待以上だったな。最近のロゼ作品は大人しめになったと聞いていたのですが、今までで一番尖って見えました。乙女ゲーだけあって共感できる部分、納得できる部分は残っているけど、それでも随分思い切ったな!と感心した。よくよく見ていくと、今までで一番普通の子っぽくもあるんですけどね。真相で納得。
攻略対象も吹っ飛ぶ時は吹っ飛び、締める時は締める、いつもの感じだったと思います。
ボリュームは……普通? 攻略中は「多い!」と思ってました。でも巷の感想見ると少ない方なのかな?
確かに、今まで自分がプレイしたQuinRose作品の中では一番コンパクトでしたが、もともとが作業含みの大ボリュームなので、それを考えれば特別少ないとは感じなかったな。全編個別ルートみたいなものだし、テキスト量はそれなりにあったと思います。
完全ADVの一般的なボリュームを知らないので、もしかしたら少ないのかもしれないけど、個人的には不満ありませんでした。
細かな希望はあったけどね!
押しっぱなしじゃなくてもいい、ON/OFF切り替え式のスキップが欲しいとか。各種飛浦EDにもうちょい差があったらなー、とか。
あと、シナリオと一続きでない、ED後の一幕的なサブイベントなんかも欲しかった。でもそれは今までも無かったか。
今までの傾向からして、FDなどは期待できそうにないのが残念です。もう少し彼らのエピソードを見たかったな。(と思ってたら……)
地続きの新作が出るようなので、そちらでの世界観の深まりも楽しみです。



各キャラ感想


▼式部 密

ヤンデレこわい。
公式で病んでいると書かれてたからどんなものかと思ったら、本当に病んでいた!
ヤンデレというと「初めはまともだったキャラが恋愛を切欠に病む」というイメージがあるので、元から価値観の違う密が含まれるかどうかは微妙なところですが、言動はまさにヤンデレでした。
教室のシーンはヒエエエエだったよ! 緊張感すごかった。
まさかこのままなだれ込むのか!?と思ったらそのまさかで、定型をぶっちぎった遠慮のなさに感心しました。
あそこまで行ったら最中のやり取りも見てみたかったが、そうするとR18になってしまうのが歯痒いところ。行為そのものを突っ込んで見たいとは大して思わないんだが(あれば見るけど)、その際行われる会話の内容には興味あります。あんななだれ込み方なら尚更。
密のヤンデレ具合は「全部俺だ。俺じゃなくちゃ嫌だ」「もっとぐちゃぐちゃにしてやりたいよ」辺りで極まっていた気がするが、個人的には「そんなに好かれているとは、知らなかったわ」「そう? おまえは俺のことを、何も知らないんだな」というやり取りが好き。
そこでそう返すのか!と、なかなか新鮮でした。パッと見萌えるし、深く考えても切なくていい。
自分にとってヤンデレって、描き方によって許容できるかできないかパッキリ分かれる属性なんですが、密は大丈夫だったな。
行動的なヤンデレは平気だ。ちと行動的すぎて所業は受け入れを悩む域だけど、そもそも密の場合、プレイヤーが悩む以前に主人公である静が受け入れていないからなぁ。真相見る前から駄目だろうなーとは思っていたが、案の定駄目だった!
あれだけのことをしておきながら、所々臆病風に吹かれて後ろ向きな密にイラっとしたこともあったのですが、あの静の性格を考えれば後ろ向きにもなるか。真相まで見終わった後だとそこが程よい隙になっていて、プレイヤー的には受け入れ易いです。
妖怪と人間で駄目だったから同じものにしてみたけどやっぱりつれない元が違うから仕方ないか……で親友の位置に落ち着いたとか、ヘタレすぎて逆に愛しくなる。わりとすぐに箍が外れるしな! どの口が友情だの言うのかと。
遠野曰く器が小さいという形容がヒドいと思いつつ納得というか……。そもそも器が大きければ病んだりしないか。
ルート外での軽~い悪友っぷりも好きです。コメディシーンも難なくこなせるヤンデレは珍しい気がする。

静や京極、巳継へのひどい所業は、密なりに(静に)良かれと思ってやったことでもあっただろうから、真相・京極で「何で?」ってなるのは理解できなくもない。静からするとふざけるなの一言に尽きてしまうけど。
真相・密の、緊張感を保ったまま、愛憎巻き込んで続いていく関係が二人らしい気がします。
むしろ下手に密が罪悪感に目覚めたり静が懐柔されたりしなくてよかったよ!
加害者と被害者という関係は今更動かし難いのだから、落としどころとしては最適解だったのではないかと。
密は変わらず静が好きで、静側にも一抹の情が残っているあたりが切なくも恋愛EDですね。
真相を思い出さないメインEDもアリだとは思うが、人間だった頃の静と密の交流を含め、全てが明らかになっている方が納得いくかな。
自分で封じておいて思い出して欲しいと願う、密の都合の良い想いに同調してしまった。

以下過去作絡みの語り。「ハートの国のアリス」の真相ネタバレ含みます。
プレイ前から初期にかけては「ハートの国のアリス」のペーターを連想させたのですが、真相まで見たら全然違いました。
「主人公に好意を持ち、記憶をぼかして別世界に導く案内役」と言う点は一致してるが、ペーターはあくまでもアリスの幸せに拘り、その為にハートの国に引っ張り込んだのに対し、密は最初から最後まで自分の望み中心で、静の意思や幸せは軽視している。
アリスが元の世界に戻ることを強固に望めば、ペーターは泣きながらでも送り届けるけど、密は静が望んでも絶対に許さないし、そもそも引き込んだ時点で戻れないように手を回している。
もう比べることすらペーターに申し訳なくなるレベルで人でなしです。(まあペーターもアリス以外には人でなしだけどさ!)
静を見ていると、アリスは周囲から大事に大事に愛されている主人公だったんだと感じる。
責任感に突き動かされるまま、愛してくれるもの全てを振り捨てて現実に戻ってしまう真相アリスも不器用で切ないけど、戻る場所、家族の思い出すら理不尽に奪われ、全てを思い出したら孤立するしかない静は不幸すぎるな……。
ただ、アリスは思い出さなくていいけれど、静には家族との日々を思い出して欲しいと思う。出来れば。
そしてその上で幸せになって欲しいのだが、密相手だと難しいだろうな。

なんだかんだ言って、日和らずに悪役貫いてくれた時点でかなりお気に入りになったキャラです。
メインヒーローでこの立ち位置は斬新だった。普通こういうのは裏ヒーローの役割だと思うんだが、よくもまあ! 感心しました。
しかし、静の幸せを考えた場合、相手役としては落第と言わざるを得ません。
酷い目にあった分、静にはもっと真っ当な相手と幸せになって欲しい!



▼日比谷 京極

真っ当な相手代表格。だったのに、真相であんなことにいいい!!
普通の乙女ゲーならこの人がメインヒーローで、密は幼馴染枠に見せかけた裏ヒーロー(制限有り)だったのではないだろうか。
今でもWヒーローの一角的な立ち位置だと思います。主人公の運命の人。
基本冷めている静が自分から積極的に好意を示した相手だから、その形容も間違ってない気がする。
ファーストプレイのお相手兼、別ED求めて最も周回重ねた人なので、プレイヤーとしても思い入れ一入です。
総周回数は15に届くんじゃないだろうか。最後はろくすっぽ画面見てなかったとはいえ、さすがに展開覚えたぞ!(笑)
最初の頃キャラが掴めずに困惑してたのが懐かしい。堅物に見せかけて柔軟性のある面白い人でした。
プレイ前雑感にも書いたのですが、黒髪眼鏡の委員長系はそれだけだとピンと来ないので、日比谷さんのキャラを掴むまでが勝負だった。静の地の文の分析が助けになったな。最終的には和泉の「真面目に見えてムッツリそう」発言に全てを持っていかれた気もするが(笑) いや、あれは当たってたと思うよ! 保健室の腕章ぽーい、は正直吹いた。
片や漸く成人、片や何十年も生きた妖怪で、見た目に反する歳の差カップルであるところも面白い。
【生真面目で純情、思い込み激しくわりとチョロい(?)青年と、それをからかう性悪お姉さん】【頼りがいのある優しい先輩と、子供っぽく甘え上手な後輩】という、普通なら縁の無い構図が両立する関係は他にないものでした。
女性が血を吸う側というのも新鮮でよかった!

京極ENDが幸せ一杯だったぶん、真相・京極は堪えたな。
逆だったらそれはそれで物足りなかっただろうけど、京極EDに真相を絡めた真相・ベストとかあったら言う事なしでした。
密は業が深すぎるので、大団円的EDは要らない気がするのですが(真相で充分)、日比谷さんには欲しかったです。
日比谷さん何も悪くないもんなあ。神隠しに遭ったことに関しては、大元の静同様運が悪かったとしか言い様がないですが……じゃないじゃないそうじゃない!密が100%悪いとしか言い様がないですが、真相の日比谷さんは本気で可哀想だった。
静の「強引で、自己満足かもしれないけど。それでも……」という気持ちが解るから、一層やるせない。密め!
後でシーン回想していて気付いたのですが、京極EDの遊園地デートで「巳継との思い出、大事じゃないの?」「大事だが……、俺はもう戻れない。いや、戻る方法があったとしても、戻る気はない」という会話があるんですよね。
もし真相で日比谷さんに相談していたら……?という疑問の解はここにあった! どうしよう余計切ない。
過去を思い出したのが遊園地に行った後だったら、静も一人で決断したりはしなかったのかな。
そう思うと、「約束していた遊園地に、結局行けなかったことを思い出す。」という一文の重みが増します。
真相・京極は終わり方としてはとても綺麗で余韻があって好きなのですが、敢えて選ぶならやはり京極ENDかな。
なんだろうなぁ…… やっぱり、何の業も背負っていない善良な人は幸せになるべきだと思うよ。うん。



▼和泉 零次

キャラも静との組み合わせもストライクすぎた。
天邪鬼・年下・敬語・わりと常識的・好きなもの絡みで豹変と、どれだけこちらのツボを押さえれば気が済むんだ!
喧嘩ップルに振り回し振り回され関係とか美味しすぎた。二人共通の捻くれたところも共感し易かったです。
何より真相絡みの影がないのがいい!
攻略したのが最初の方だった為、後のルートの真相仄めかしっぷりに驚きました。
密と日比谷さんは思いっきり核心なのでともかく、最も縁が無さそうだった遠野であそこまで絡むとは……。
和歌子ですらそれっぽい台詞があったのに、和泉のこのハブられっぷりは何なのだろうか。
おかげで何の憂いもなくラブコメに集中できて楽しかったですが。
最初っから最後までど真ン中な展開続きで息吐く暇もなかった。途中終了EDにすら萌えがあった。恐るべし和泉!
見た目も色素薄くて綺麗だし、静への反応がいちいち面白い。
序盤の生意気な後輩ぶりも、中盤の天邪鬼で照れ屋な態度も、終盤のリミットふっ飛ばした暴走も全部好きだ。
たまに素直になるとかわいいし、それにぐっときてしまった静が和泉を喜ばせようとあれこれするのも微笑ましかったです。
所詮私も、そういうありふれた展開に弱い女の一人だった、ということだ。]っていうけど、ギャップを制するものは世界を制するんだよ! それくらい大事な要素なんだよ! まぁ、本来ギャップってあまり良い意味では使われないけど…… どちらにせよ制するに越したことはない。
恋愛面では日比谷ルートの次くらいに積極的だったんじゃないかな、静。
気持ちが対等に近いので、安心して先を読めました。性格も強がり同士でちょっと似てるかな。お似合いだと思う。
好みなあまり、格別に贔屓しているのは否定しません。

真相については「うっかり伏線入れ忘れた」と言われても納得してしまうんだが、話の焦点が和泉に絞られていたのも関係しているのかなぁ、と少し思う。静のことを和泉が知るより、和泉のことを静が知る機会の方が多かったというか。
舞台は少し特殊だけど、いかにも学生同士の恋愛という感じで一部エピソードを除き王道に徹していた気がする。
今の和泉ルートの話を変えずに真相関係の伏線を突っ込めと言われると難しいです。
絡ませるなら姉の結婚式あたりなんだろうけど、あそこは和泉の見せ場だしなあ。
和泉は家族持ちだし、静が真相絡みで不安に思うことってあまり無いんですよね。お姉さんがお嫁に行って子どもは和泉一人だけだから、懐かしさで不意に思い出すという展開も使い辛い。静が思い出す時ってだいたい妹絡みだからなあ……やっぱり難しいな。
作中で描写されてないだけに、静の過去が明らかになった時の反応が一番想像つかないのも和泉です。
真相から一番離れている分、そこに近づいた時どうなるか気になるんだけどなぁ。
とりあえず密とは敵対する気がするが、後はよく分からん。
密と和泉が正面切って戦うことになった場合、愛の呪いが効果的に作用したら面白いな、とは思うが……。
ラスボス扱いな上、全然応援できなくてごめんよ密。でもラスボスだよね。



▼遠野 篤郎

恐らく、このゲームで最もプレイヤーのテンションを上げてくれたキャラ。
裏切りも変態行為もなく、主人公に一途で男前。攻略対象としてはとても真っ当なキャラなんだが、何事も限度があるということを学べた気がします。そして、フィクションにおいては限度知らずに突っ走った方が見てて面白いということも。
遠野が自覚するまでは不良モノ少女漫画的な甘酸っぱさもあったのだが、自覚した後はなんかちょっとよく分からなくなった。
とりあえず、静さんの全力拒絶っぷりと、押して駄目なら引いてみろ?何だソレ馬鹿かと言わんばかりの遠野の不屈猛攻にひたすら笑っていました。
押したり引いたりのもどかしい攻防も嫌いじゃないが、見事ゴールするか派手に転ぶかするまで、押して押して押し捲る姿勢は潔くて好きだ。男女問わず。だもんで、引いて引いて引き捲っている静さんの姿勢もあれはあれで潔くて好きです。拒絶はスパッと!
遠野があそこで少しでも引いていたら、真相絡みの葛藤を抱える静はこれ幸いと無かったことにしただろうから、押し続ける道を選んだ彼は正しかったんだろうな。静の性格的に、葛藤がなくても無かったことにしたかもしれない。
ハトアリのアリスとはまた違った意味で恋愛に冷めている(必要としていない)主人公なので、素っ気無くして気を惹ける相手ではないと思う。むしろ由良城のように突き抜けていかないと駄目だ。溝が出来て初めて気になるあの人……的な効果が期待できるのは、最初から懐いてる密と日比谷さんくらいだよ! 和泉もあのまま告白しなかったらどう転がったか怪しい。

遠野本人は芯の通った男前で、女子に人気があるというのも納得でした。
ベタな不良感もヤンキー漫画世代としては嬉しい要素。
他校生との対立ヒロイン拉致監禁脅迫状付きの石で窓ガシャーン多対一無双で「あ、あいつ人間じゃねえ!」「怯むな!数で押せ!」「ぎゃああああ助けてくれー」みたいな展開があったらきっと爆笑した。(この場合無双するのは静だろうけど。あと人間じゃなくて妖怪だけど)
さすがにここまでじゃなくても、近い展開は幾つか見られたので満足です。グッドENDも好きだ。
これが普通?の不良と一般女子生徒の組み合わせだったら、好きは好きでもここまでテンションは上がらなかったかも。
拮抗する実力といい、喧嘩相手の前提といい、このゲームでなければ成立しなかった関係として得点高いです。
ベストENDのVS密で静に向けて言った一連の台詞がお気に入り。



▼由良城 閨悟

初っ端の闇の中の死ENDの衝撃といったら。ルート入りすら待たずにお前……!!
あれによって、由良城の静に対する好意が本気も本気、命すら余裕で賭けられるレベルなんだと理解できました。
でも元々あの好意に裏は無いだろうと思ってた。期待していたのはもっと別の何かで、そこは期待通りでした。
あと犬! 公式でCGを見た時から山犬姿に惚れ込んでいたので、弟妹によるダメ押しは反則だった! 大小恵まれ過ぎだろう!
由良城は単体でも好みだけど、家族の魅力も大きいです。
恋人同士の関係が一番大事だけど、暖かく見守ってくれる家族の存在はそれを補強してくれると思うし、何より静の真相の影を拭ってくれそうでよかった。和泉の家族も良い感じだったし、動物系の妖怪は安心して見ていられるな。
馴れ初めの思い出はベタだったけど、静側のキャラや事情が全然ベタじゃない辺りがアンバランスで面白かったです。
あれでも静まっしぐらになったのは山犬の習性かと思ったけど、絶体絶命の窮地を救われた上、気紛れな好意でも手当してくれたのは確かだし、慕ってもおかしくはないか。(あそこまで盲目的なのは習性だと思うが)
由良城は人間がどうなろうが大して興味なさそうだし、彼視点だと静達も普通に遊んでたことになりそう。
女性客への対応は分かってても「おっ」となりました。普段が優しいだけに冷たい顔が際立つ!
静への好意は盲目的といって良い程だけど、静自身に対してまで盲目というわけじゃなく、見てるところはきちんと見ている、というのが由良城の魅力だと思います。夢は見ていても、対象を歪めるまでには至っていないと思う。お互い心地良い状態、なのかな?
由良城の好意がダダ漏れなぶん、付き合い出してからの回りの反応が気になる組み合わせだったので、和泉や遠野との絡みは楽しかったです。特に遠野が出てくるグッドEDは笑ってしまった。弟妹を見せたいね!
密とは今のところ対立してないが、いつか表立って争う時が来るのかも?
家族丸ごと攻撃対象にされかねないので、由良城と静には頑張って欲しいです。



▼飛浦 萌葱

各種真相ENDのキーマン。狂言回し的な立ち位置で、登場回数も少なめなので、印象は他より薄いかも。
真相自体は序盤のイベント(+他ルート)でだいたい予想がつきましたが、個別EDの着地点は全く予想外だった!
一部纏められてしまっていたのでアレですが、恋人の反応を想像するのが楽しかったです。
しかしあれ、3つに分ける意味はあったのだろうか。EDの僅か数行の違いで三周を余儀なくされるのはさすがにちょっとなぁ。繰り返しプレイはあまり苦にならない質だけど、それでも「切り替え式のスキップがあったら……!」と思う程度には手間でした。一番思ったのは真相EDを探ってる時だけど!
真相といえば、飛浦さんの性悪さを最も実感したのは真相・京極でした。
しかし、それまで傍観者だったのに、敢えて?静に情報を与えた理由が気にならなくもない。
そっちの方が飛浦さん的に面白そうなのは確かなんだが、真相・密の飛浦さんの方がそれっぽい気がするな。
飛浦さんと静の一対一の恋愛って微妙に想像つかないのでアレですが、何にせよ静は苦労しそうだ。



▼日比谷 巳継

密、日比谷ルートの中心人物。和歌子イベントでの友情出演にはびっくりしました。
日比谷さんのEDと言うと真相・京極が最も印象深いけど、巳継の卒業を二人で祝う通常EDの落とし方も巧かったな。
対比として、真相で人間に戻った京極と巳継の会話も見てみたかったです。
巳継が妖怪化してしまうEDは京極・静の両名にとって間違いなくBADEDだけど、これもその後が見てみたかった。
昼間の学校でのほのぼのした会話シーンが結構好きでした。
あまりそういう意識はなかったけど、普通なら攻略対象になる立ち位置だったのかな。
生粋の人間と恋をする静、というのも興味があるかも。密に即抹殺されそうだけどな!



▼梨畑 和歌子

和歌子はもっとお淑やかで感情の読めないタイプだと思っていたので、外見と内面のギャップに少なからず驚きました。
活発か!活発タイプだったのか! 黒髪ロングの和風美人で活発、奔放って素敵。
ともすると静よりも口が悪いところも好きです。登場キャラの中ではそこそこ長く生きていそう。
静とは勝気同士、腹を割った友人関係で良かった。静を溺愛してはいるんだが、何処かしらサバサバした印象もありました。
妖らしい妖なので、人間にとっては酷薄な面も多々ありそう。和歌子と人間男性の組み合わせも異類婚姻譚としてアリかと思います。でも人間は首が伸びないから駄目かー。面白そうなんだけどな。
ルートがあればいいなぁと思ってたけど、それ以外でも度々顔出ししてくれて嬉しかったです。
特に密&京極ルートや遠野ルートなど、大事な場面でちゃんと絡んでくれたのが大きい。
悩み事をきちんと相談できて、客観的な意見をくれる、いい親友だったと思います。



▼涼江 静

負けず嫌いで喧嘩っ早い主人公。好きだ!
妖怪だからって特別残酷だったりはしないんだが、遠野への全力拒否といい、たまに見せる意地悪さといい、乙女ゲーでは珍しいタイプだったと思う。攻略対象にバンバン言い返してくれるし、強さも対等なので、見ていて「ぐぐっ」となることが少なく爽快でした。
静みたいなタイプは、男主人公に対するヒロインとしてよく見るかな。個人的にはとても好みです。振り回してくれるくらいがちょうどいい! ので、和泉ルートの彼女が一番輝いて見えた。一途な好意に絆される由良城ルートも良かったな。
特に好きなのが、静の性格の根底にある「負けず嫌い」な部分です。
密と対峙した時など、怯えながらもそれを隠して受けて立とうとする様がとても可愛く見えるし、身近で共感しやすい。
怖いものなど何もない完全無欠の主人公、というのもそれはそれで面白そうだけど、脆さのある静なら威勢の良さを損なわない程度でちょうどいい。決して弱くはない一方、怖さや恐れを抱えているというギャップがあるのも魅力的。
元は妖怪に絡まれながら育った静の精一杯の処世術で、密の気を惹いてしまった原因でもあるという、諸刃なところも好きです。
うーん、なんだろう、幸薄そうで守ってあげたくなるのかな。幸せになって欲しいです。

彼女に関する真相は概ねプレイ前に予想した通りでした。
作中でも和泉を除く全ルートで仄めかしがあったし、真相ED攻略前に大筋は把握できていて当然、という感じだったな。
QuinRoseのゲームは 魔法使い→アラロス→ハトアリ ときて四作目ですが、今までで一番分かりやすい真相でした。
アリスのような、謎とミスリードを散りばめてこちらを惑わすタイプのゲームも好きだけど、今回のシンプルで分かりやすい真相も嫌いじゃない。詳細は真相EDを見ないと分からないし、そこで初めて発覚する事実もありました。静(小学生)と密(高校生)の組み合わせは正直萌えた。
しかし、推測は容易でも解決は容易じゃない真相だ。
家族は生き返らない、誤解は正せない、仲直りは出来ない、人間には戻れない。
ハトアリのアリスと違い、誰かと恋をすることで自動的に問題が解決する(道が定まる)こともない。
静が妖怪として生きる限り、この真相は彼女に付き纏い続けるのだろう。
そう考えると、恋の成就ではなく、静と自分、どちらかの死を終着点とする密の気持ちも解るかな。静が恋の相手として誰を選ぼうと、その点だけは絶対に譲らないんじゃないか。そしていつか対決の時が来るんじゃないか。……と思うけど、どうなんだろう実際。
強固に封じられてるわけじゃないから、どのEDを経ても、いずれ真相が明るみに出る可能性は否定出来ない。
その上で、関係を築いた相手と共に過ごす道を静が選んでくれたら嬉しいなあーと思います。
個人的に由良城はかなり有望株である。和泉はちょっと不安、遠野はもっと不安かな。でもそれぞれ突破口はありそう。
今のままだと静はやっぱり可哀想だと思うからなぁ。大事な家族を失ったことすら思い出せないのはあんまりだ。思い出すことで更に不幸になる確率が高いのがアレですが、でも、いつかは思い出して欲しいです。
今までの作品でも全ての問題が解決する大団円EDは無かったので、この切なさがQuinRoseの味なのかもしれないな。



後書き

よし、こんなものだろう!
ささっと書き上げるつもりが、結局半年近く掛かってしまいました。
世界観を共有する百鬼夜行~怪談ロマンス~が届いて漸く筆を置けた。
書いてる間に百鬼夜行の情報がどんどん更新されるわ、逢魔時の続編の発売が決定するわでどれだけ叫びたかったことか!
特に続編! 絶対出ないと思ってたので仰天しました。どうするんだ、上で「期待できない」とか書いちゃってるぞ!
しかも恋人になった後の話なんて願ったり叶ったりです。……真相、思い出すのかなあ。全編シリアスになりかねないし、さすがに無いかな。でも、思い出さないまでも、逢魔時のキャラルートよりはもう一歩踏み込んで欲しい気がする。
公開されているCGやOPムービーを見る限り、複数人が一堂に会するシーンが多そうでひたすらワクワクしています。
子どもの由良城+和泉と大人の静が一緒にいるってどういう状況なんだ! 巳継と由良城兄弟という謎の組み合わせも気になる。もしかして攻略対象全員と顔合わせしてくれる……とか? というか巳継って攻略対象なのか?
飛浦さんが攻略対象に昇格しているという話も小耳に挟んだのですが、マジですか飛浦さん。想像つかなすぎて気になる。今のところキャラの好き嫌いすらはっきりしてないので(嫌いじゃないと思うが)、黄昏時をプレイしたら大分印象が変わるだろうな。
巳継が攻略対象になるか否かも相当気になるところですが、個人的には日比谷さんとのその後があるのが嬉しい。
京極EDも好きなんだよ! 真相・京極も好きだが、普通に幸せそうにしている二人も見たい!
勿論、真相EDの続きがあるならそれも読みたいですが。あるかなあ。ないかなあ。
和泉は狐耳が生えたり執事?風になってみたり、何してるんだお前感が凄いです。また一人だけ浮いてないか君。
他キャラならいざ知らず、和泉ルートでダークな展開ってあるんだろうか。本編ルートが平和だったからピンと来ないぞ。
遠野は遠野で、また明後日の方向に全力疾走してくれそうな気配があります。私は君を応援している!
しかし、嫉妬や諦めきれない想いによる少しダークな展開と言われると密の独壇場としか思えないな。全編通じてラスボス張ってたらどうしよう。それとも諦めきれない想いは静のものなんだろうか?
静にデフォルトで片想いしてるのは密と由良城の二人だけど、由良城は嫉妬にかられて暴走するタイプじゃないし……うーん。

何にせよ、今後の公式更新を見守りたいです。
4年ぶりに手に取って見事に嵌ったゲームの続編が出るなんて、こんなに嬉しいことはない!
もう本当、徐々に上がる達成率に寂しさを募らせていた記憶が蘇って泣けてくるよ!
我ながら今ちょっとアホみたいだと思ってるよ!
逢魔時キャラの色んなエピソードが見られるといいな。楽しみだ!

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